[不定期連載] フリックス・アレイ Another 〈RE〉emperor 2
「ここがワーナーの家か。」
レイリアは生来、他人に興味がなかった。自分がたった一人、皇帝になることを信じていたからである。
「邪魔するぞ。」
「おっ、来ましたねレイリアさん!こちらです。」
「おぉっ…何だここは…」
「ここが僕の部屋です!」
案内されたのは、溶剤の残り香が漂う工作室だった。
「ここで作るのか。ウッ、オエッ…」
「うわぁ!大丈夫ですか?」
「この臭い、だめだ…」
「溶剤臭だめなんですね…」
二人は一度部屋を出た。
「困ったなぁ…フリックス作りには『プラリペア』という溶剤が不可欠なんです。しかし溶剤がダメとなると、部品の接着ができないし。」
「ぐうっ…すまない。」
そんな中、大きな揺れが二人を襲う。
「地震か!?」
「頭を守りましょう!」
二人は咄嗟に手で頭を押さえ、その場でうずくまった。
「収まったか。」
安堵するレイリア。
「ん、?」
「どうかしましたか?」
レイリアはすぐさま何かに気づいたようだ。
「このネジって、フリックスに使えないか?」
「レイリアさん!大発見ですよ!ネジは盲点だった…」
アイデアが浮かび上がる、電流にも似たような衝撃がレイリアの脳内に走る。
レイリアは早速制作に取り掛かる。
某フリ⚪︎クケースほどの大きさのベースに穴をあけ、ネジを使って巧みに金属プレートを固定していく。
「妙に慣れた手つきですね。もしかして工作の経験があったり…?」
「親が製造業営んでるんでな。仕事の手伝いで大体学んだ。」
しばらくして出来上がったのは、初めて作ったとは思えない代物だった。
ねじ止めされた金属プレートにはプラスチック製のタイヤが取り付けられている。
「こいつは、『エンペリアル・ストライカー』だ。」
「いいですね。装着されたタイヤで機動力を底上げしているわけですね。」
「そうだ。こいつは皇帝の馬たる存在。我が馬は、俊足でなければならない。」
レイリアは、新たなる力を手にした。
[第2話 CREATE 完]