[不定期連載] フリックス・アレイ Another 〈RE〉emperor 2

2025年05月07日

「ここがワーナーの家か。」

レイリアは生来、他人に興味がなかった。自分がたった一人、皇帝になることを信じていたからである。

「邪魔するぞ。」

「おっ、来ましたねレイリアさん!こちらです。」

「おぉっ…何だここは…」

「ここが僕の部屋です!」

案内されたのは、溶剤の残り香が漂う工作室だった。

「ここで作るのか。ウッ、オエッ…」

「うわぁ!大丈夫ですか?」

「この臭い、だめだ…」

「溶剤臭だめなんですね…」

二人は一度部屋を出た。

「困ったなぁ…フリックス作りには『プラリペア』という溶剤が不可欠なんです。しかし溶剤がダメとなると、部品の接着ができないし。」

「ぐうっ…すまない。」

そんな中、大きな揺れが二人を襲う。

「地震か!?」

「頭を守りましょう!」

二人は咄嗟に手で頭を押さえ、その場でうずくまった。

「収まったか。」

安堵するレイリア。

「ん、?」

「どうかしましたか?」

レイリアはすぐさま何かに気づいたようだ。

「このネジって、フリックスに使えないか?」

「レイリアさん!大発見ですよ!ネジは盲点だった…」

アイデアが浮かび上がる、電流にも似たような衝撃がレイリアの脳内に走る。

レイリアは早速制作に取り掛かる。

某フリ⚪︎クケースほどの大きさのベースに穴をあけ、ネジを使って巧みに金属プレートを固定していく。

「妙に慣れた手つきですね。もしかして工作の経験があったり…?」

「親が製造業営んでるんでな。仕事の手伝いで大体学んだ。」

しばらくして出来上がったのは、初めて作ったとは思えない代物だった。

ねじ止めされた金属プレートにはプラスチック製のタイヤが取り付けられている。

「こいつは、『エンペリアル・ストライカー』だ。」

「いいですね。装着されたタイヤで機動力を底上げしているわけですね。」

「そうだ。こいつは皇帝の馬たる存在。我が馬は、俊足でなければならない。」

レイリアは、新たなる力を手にした。

[第2話 CREATE 完]

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