[不定期連載]フリックス・アレイ Another 〈RE〉emperor

2025年05月02日

皇帝。全てを統べる者。

彼の憧れの対象であった。

レイリア・ボット。それが彼の名だった。


「俺はエンペラーになる。絶対だ。」




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レイリアは中学1年生だった。

彼の学校で流行っていたものがある。それがフリックス・アレイである。

進化系おはじきホビーと銘打たれて頒布されたそれは、機体のカスタムに切断、接着等の工作が許容されていたことから人気が跳ね上がり、全世界に広まった。

彼の学校でもフリックス・アレイによるバトルが行われていた。

「ひっ、ひどいよぅ!こんなこと!」

「うるせえ!俺が勝ったらお前のフリックスは俺がもらうと約束しただろう!」

「で、でも…」

「文句があるならもう一度戦って俺に勝つことだな。」

フリックスはいじめの道具にもなっていた。

「おい、返してやれ。」

「へっ?」

「聞こえなかったか。返してやれと言ったんだ。」

「レイリアさん!失礼いたしやした。こんなお見苦しいところをっ」

「もういい。失せろ」

「はいぃいいいっ」

いじめっ子は、取り上げたフリックスを置いてこの場を去った。

「君、名前は?」

「えっ、同じクラスですけど知らないですか?」

「すまんが、他人に興味がないんでな。」

「僕はエレン・ワーナーです。」

「ワーナー。いい名前だ。」

「ありがとうございます…?」

「で、さっきのあいつはなんだ。」

「あいつはラング・ラッカー。僕みたいなフリッカーにバトルを仕掛けて機体を奪う奴らなんです。」

「フリッカーって何だ?新手のお菓子か?」

「知らないんですか!?」

「ああ。」

「フリッカーというのは、フリックス・アレイの競技者ということです。フリックス・アレイというのは、箱型のベースにパーツを切りはりして機体を作り、それをぶつけ合ってバトルする競技です。」

「なるほど。理解した。」

「よかったです。」

「じゃあ、俺にそのフリックス?とやらを教えてくれ。」

「え、なぜです?」

「あいつを一度粛清しないと気が済まないからな。」

レイリアの言動には怒りが込もっていた。

その日の放課後、レイリアとワーナーは屋上にテーブルを出して、フリックスの練習をした。

「じゃあ、自分の機体を作りましょう。いつまでも借り物じゃいけないですし、自分で作った機体の方が、愛着も湧きます。」

「そうさせてもらおう。」

「この後、僕の家に来てください。工具も材料も揃ってますから。」

ワーナーの提案にレイリアは心を躍らせていた。

[第1話 ENCOUNT 完] 

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