フリックス・アレイ Another 〈RE〉Emperor  6

2025年05月22日
〈二つの星編〉


皇帝に憧れた男は、俊足の馬を手にした。 それは、彼の辿る命運を大きく変えた。 

大成の時は、一歩ずつ迫る。 


「エンペラーは常に強くあらねばならぬ。」


—————————————————————————————————————————

尽ヶ丘。人口7万人ほどの小さな区である。しかし、『フリックス・アレイ』をシリーズとして展開する『マサイトイズ』の本社があるために、尽ヶ丘はマサイトイズのお膝元として、聖地的な認識をされている。

そして、今度彼らが参加する『尽ヶ丘フリックスカップ』もマサイトイズ主催の大規模大会だった。128人でのトーナメント制。優勝、準優勝は地区代表としてさらなる高みへ臨む。

レイリアは、いわばフリックスの"皇帝"を目指すわけだ。

「大会、出ると決めたは良いが…」

「いざ目の前にすると、何をしていいか分からなくなりますね…」

彼らは悩んでいた。

ワーナーは大会経験なし、ましてやレイリアはフリックス自体の経験もまだ浅い。

そんな彼らが、大きな壁を目の前にして、立ち尽くすことしかできないのも、想像に難くない。

「あっ、レイリアさん、言い忘れてたことがあります。」

「何だ?」

「大会のエントリーにはフリックスを2機登録する必要があるんです。」

「え、つまり、ストライカーだけじゃ出れない…ってことか?」

「そのまさかです…ごめんなさい…」

「早速機体を作るか!ちょっと待ってろ。家から色々取ってくる。」

「はい。」

レイリアは家に急ぎ帰った。

5分ほど後、彼はワーナーの家に戻ってきた。

「すまん。待たせたな。」

「いや、早くないですか?確かレイリアさんの家って尽ヶ丘の役所の方じゃ…」

「そうか?別に走ればすぐだがな。それはそうと、制作に取り掛かろう。」

「そうですね。」

レイリアは、ワーナーの家にお邪魔し、スペースを貸してもらうことにした。

「申し訳ない。俺が溶剤に弱いばかりに…」

「気にしないでください!そういうのは人それぞれありますから。」

「ありがとう。」

レイリアは、俊足の馬の次に何を創生するのか。彼の中には明確なビジョンが定まりかけていた。

「皇帝は『矛』と『盾』を有する。『矛』はストライカー、『盾』は…」

[第6話 VISION of… 完] 

無料でホームページを作成しよう! このサイトはWebnodeで作成されました。 あなたも無料で自分で作成してみませんか? さあ、はじめよう