フリックス・アレイ Another 〈RE〉Emperor 7
「城だ。皇帝にふさわしき城砦を建造する!」
「馬の次は城ですね!良いと思います!」
二人は、新たなるフリックスの作成を開始した。
ストライカーと同じく、ネジと金属板で作成されたそれは、同じ材料から命を吹き込まれたとは思えぬほどに形を変えた。
4本の足が路面をしっかりとグリップする。まさに不動の城ともいうべきだが、彼にはまだ未完成のように思えていた。
「何だ?何かが足りない気がするんだ。」
自問するレイリアの脳内に、また謎の声が響く。しかし、それはラングとのバトルの時とは違っていた。
「皇帝の化身たる男、レイリア。」
「お前は、ストライカーの時とはまた違う…?誰だ?」
「我は、不動の城砦、エンペリアル・フォートレス。」
「そうか…お前が…」
「我はまだ未完成だ。何かが足りない…」
「俺もちょうどそう思ってたところだ。ちょっと待っててくれよ。俺が完成させてやるから…」
対話の最中、彼の目に入ったのは、ストライカーの作成時にも使ったプラスチックのローラーだった。彼はそれを手に取り、観察する。
「これは、そうか…!使えるぞ。」
彼はおもむろにドライバーを取り出し、ローラーを横向きに設置していく。
「ローラーで相手の攻撃を受け流す、我ながら良い考えだ!」
ストライカーでは、ローラーを攻撃的に使用した。しかし、今回は防御的な使用である。
「ありがとう、レイリア。これで我も、皇帝の力となれる…」
謎の声は姿を消した。
「よし!エンペリアル・フォートレス、完成だ。」
「おっ!ついにできましたね。」
若き皇帝が手にしたのは、不動の城砦。
それは、彼にとって大きく見え、頼もしく感じられた。
『矛』のストライカー、そして『盾』のフォートレス。
大いなる二つの力は、レイリアに何をもたらすのか。
[第7話 The FORTRESS 完]