フリックス・アレイ Another 〈RE〉Emperor 5
「なぜだ!今まで全くと言って制御が効かなかったはずだろう。」
「あったんだよ。一つの答えが…!」
「僕もそれ、気になります!」
「シュートポイントに対して、少し斜め上からシュートしたんだ。なぜだか分からないが、ストライカー自身がそうしろと言っているようだった。」
「そういうことですね!わかりましたよ。シュートポイントの斜め上からシュートすることで、ストライカーに前だけでなく下向きの力が働いた。そして地面との摩擦が増し、荒れ狂うスピードを制御できたわけですか!」
「細かいことは分からんが、きっとそういうことなんだろうな。」
「クソっ、貴様ら本当に何なんだ!チクショウ…覚えてろよ!」
ラングはそうとだけ言い放ち、公園から走って逃げ出した。
「よし、これで一件落着だな。」
「はい。そして、ありがとうございました。あなたのおかげで、彼を倒せました。」
「いや、礼には及ばない。それよりも、俺から頼みがあるんだ。」
「なんです?」
「俺に、フリックスをもっと教えてくれ!俺はこの競技に、めっぽうハマってしまったようだ。」
「お安いご用です!」
それから、レイリアは毎日のようにワーナーの家へ通い詰めた。
そして彼は、ラングとの勝敗を決したあのシュートを完成させた。
「ようやく体得できた。名付けて、『フォールシュート』!」
「レイリアさん!やりましたね。」
「ああ、ここまで長かった…」
「では強くなったレイリアさんに提案です。」
「何だ?」
彼が問うと、ワーナーは自分の背後から何かの紙を出した。
「尽ヶ丘フリックスカップ?」
「この地域の大会です。なんと、勝ち進めば世界大会まで進めちゃうすごい大会ですよ!」
「志は高ければ高いほど、達成の喜びも格別だ。よし、出てみるとしよう!」
レイリアとワーナーは大会へのエントリーを決めた。
彼らにフリックスの神は笑いかけるのか。今の時点では、誰もその答えを知らない。
[第5話 CHALLENGE 完]
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〈邂逅・黎明編 完〉
次回第6話、新章〈二つの星編〉突入ッ!