フリックス・アレイ Another 〈RE〉Emperor  4

2025年05月11日

レイリア、ラング、両者の機体はほぼ同時にフィールド上に打ち出された。

「レイリアさんの方が距離が長い。先行はレイリアさんです。」

「早速行かせてもらう。」

彼はストライカーをアグリィナックルに向けシュートする。ストライカーは勢いよくナックルのフロントに衝突した。これによりナックルが少し後退、ストライカーとナックルの間に少しの間合いができる。

「ビートヒット。ラングさん、残りHP14です。」

『フリックス・アレイ』において、主に用いられるバトル方式として『上級アクティブバトル』がある。この方式においては、相手にダメージを与える際のバリエーションがある。自機が相手に衝突し、その衝撃で自機と相手が離れることで発生するビートヒット。相手には1ダメージが入る。

「へぇ。少しは慣れてるようだが、怒った俺は止められねぇぞ!」

ラングはストライカーに向けてナックルをシュートする。

ストライカーは大きく突き飛ばされ、後方にあったマインと衝突する。

「マインヒット。レイリアさん、残りHP12です。」

マインヒット。自機→相手→マイン、自機→マイン→相手のいずれかの順番で相手に当てることで3ダメージが発生する。

「クッ、ワーナーがああ言うだけある。フリックスの腕だけは伊達じゃ無いようだ…」

レイリアのターン。しかし、彼にはどう立ち回っていいのかが分からなかった。

先ほどのラングの攻撃により、マインは後方へと大きく弾き飛ばされ、利用できない状況である。

「狙えるのは、ビートヒットぐらいか…」

レイリアは、ビートヒットを狙い、ナックルへ向けて強いシュートを放つ。

しかし、神はレイリアに微笑まなかった。

ストライカーは、ナックルの横を素通りし、フィールド外に落下した。

「自滅。レイリアさん、残りHP10」

「グゥっ、やってしまった…」

レイリアの駆るエンペリアル・ストライカーは装着されたタイヤのおかげで機動力と走破性を確保している。しかし、それは制御が難しいことの裏返しであった。

その後も、レイリアはなかなかラングにダメージに与えられず、じわじわとHPを削られていく。

「レイリアさん、残りHP、1…」

審判のワーナーの声が震える。

「ガハハっ!俺のHPは6。勝ったな!」

「(くっ、どうする…ラングを倒すためにはフリップアウトしかない。だが、俺にできるか…?)」

自機に相手をぶつけ、場外へ落とす事をフリップアウトという。これにより、相手が完全に落下すれば、6ダメージを与え、ラングを打ち倒すことができる。しかし、今まで自滅を重ねてしまったレイリアには、それができる自信がなかった。

自身の中で苦悶するレイリアの脳内に、謎の声が響く。

「皇帝の化身たる男、レイリアよ。」

「誰だ、お前は?」

「我は、皇帝の馬たる存在。」

「お前は、ストライカーなのか?」

「その通りだ。我が力を手にして、何を望む。」

「そんなの決まってる。ただ一つの『勝利』だ。」

「そうか。ならば、我が力を存分に使うが良い。」

謎の声はフッと彼の中から消えた。

「わかった。この暴れ馬を制御する方法が!」

「無駄だね!今更制御できたところで俺の勝ちは確定しているんだ!」

「いいや、そうかな?」

レイリアは、ストライカーをナックルに向ける。

「またストレートシュートか。今までそれでどんだけ失敗したと思ってんだぁ?」

レイリアは中指を機体の後ろに近づける。

「見せてやる。皇帝は、暴れ馬を制することで、進化を遂げる…!」

ストライカーは一本の矢のように突き進む。そして、ナックルとの衝突の瞬間。

大きな金属音と共に、アグリィナックルは大きく放物線を描いて吹き飛ぶ。

「なっ…フリップアウト。ラ、ラングさん、残りHP…0!」

[第4話 REVOLUTION 完]

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